アスベスト(石綿)について




 
 「古い学校の教室や体育館の天井裏に、綿みたいな吹き付けがされていて、手ではたいたら埃が舞っていた。」そのような光景を覚えている方はいませんか?それはアスベストの可能性があります。
 アスベスト(石綿)は天然の鉱物の一種です。建築物の耐火材をはじめ蒸気機関や造船の保温材、自動車のブレーキランプなどにほぼあらゆる工業製品に使用されていました。特に日本では1970年代の高度成長期から大量に使用され、現在はその発がん性高いことから製造及び使用が全面禁止されています。

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 日本では2004年に全面禁止されています。アスベストを吸入すると、暴露から10年から40年もの潜伏期間を得て肺線維症(じん肺)、悪性中皮腫、肺がんなどを発症することで知られています。
 2005年のクボタショック以降、アスベストを取り扱っていた工場周辺の住民で悪性中皮種に罹った3人に対し、補償を行なったことが判明し、必ずしもアスベストを直接取り扱いをしていた作業員のみならず一般市民にも、アスベストによる被害が受けることが明らかとなっています。
 アスベストによる主な疾患は下の疾患ですが、下記以外にも咽頭がんなども引き起こすのではないかと言われています。

 ・石綿肺(じん肺)

 ・悪性中皮種

 ・肺がん

 ・良性石綿胸水

 ・びまん性胸膜肥厚





 アスベストの健康被害については、何と戦前から知られていました。被害調査については欧米から1900年代から始まりました。特に1960年代には国際研究機関において専門家や医師によりアスベストと発がん性との因果関係について次々と研究成果が発表されました、
 政府及びアスベスト製造企業は、その被害の甚大性を把握していたにもかかわらず、被害の実態を無視しました。この結果特に環境省によると、これから2020年から2040年にかけて建築物の解体などによりアスベストの排出量がピークになるもとの推測されています。






 >>>アスベストによる健康被害に関する給付の請求・決定状況





 被害者の救済を推進していくにあたって、大きな問題点がいくつかあります。


専門医の不足 レントゲンやCTを撮影しても、アスベストによる疾患(胸膜肥厚・胸膜プラーク)を見逃してしまう医師がたくさんおります。
情報の不足 上記専門医の不足に加え、タバコを喫煙しているがために「たばこによる肺がん」と誤診され、水嶋医師のレントゲンの再読影により、アスベスト疾患であったと診断されることがよくあり、過去の職業から全くアスベストによる疾患を疑わない医師もたくさんいます。
被害者相談窓口が少ない 石綿による疾患が長期による潜伏期間の経過後に発症した場合に、当時被害を受けた者同士で連絡がとれないなど、被害者組織を結成が難しい状況もあります。
なお現在のところ、被害者救済活動は、過去にアスベスト製造企業に従事し被害をうけた従業員や家族を中心となった団体、泉南訴訟などの地域で設立したものや、建設業従事者が加入する土建組合で作られた被害者の会など様々な形があります。
 


 私たちは全てのアスベスト被害者の救済のために、様々な組織が垣根を越えて結集しました。「専門医の育成するプロジェクトの推進すること」、「組織間の情報の交換を密にする」、「相談窓口を多くの作り、アスベスト被害者を掘り起こしをしてゆく」、そのことがこの問題の解決の近道であると確信しています。
 そして、私たちはアスベストにより被害を受けた全ての被害者に対し、政府及びアスベスト製造企業に「すきまのない救済」を求めています。








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